「フォロワーがたくさんのInstagramを消して、地に足がついた」Misa Shinshi個展リレーインタビュー

「フォロワーがたくさんのInstagramを消して、地に足がついた」Misa Shinshi個展リレーインタビュー

現在LINDA HOSTEL 106で開催中の「個展リレー」に参加中の、写真家・画家Misa Shinshiに、インタビュー。Misa Shinshの「これまで」と「これから」、そして「今」について、BOY MEETS ARTのちささことキョウハナの3人で熱く語り合いました。

ちささこ:しんしちゃん、今日はお時間頂きありがとうございます!

シンシミサ(以下シンシ):いえいえ!よろしくお願いします!

キョウハナ:インタビューだからって固くなりすぎず、なるべく普段通り力抜いてお話しましょう〜!

ちささこ:そうか…、よし、事前に用意してきた質問面白くなさすぎるので、使わないことにする!(笑)

シンシ・キョウハナ:(笑)

ちささこ:…じゃあ、いきなりだけど、ずっと気になっていたこと聞いちゃいます!Instagramのアカウント、どうして突然消しちゃったんですか?

シンシ:ああ〜、写真用のアカウントですよね(笑)あれはそもそも高校生の時に写真を撮り始めたきっかけだったんです。Instagramに投稿されているキラキラしたポートレートたちを見て、『うわ〜、素敵〜!』って、これやりたい!って。それで作ったアカウントだったんですよ。


キョウハナ:よくある、青春っぽいポートレートですか?SNSが写真を始めるきっかけだったんですね〜。

シンシ:そうそう。私がInstagramで見たときはそういう写真が流行り出す駆け出しの頃で。写真をやる上で、SNSがあることが当たり前だと思っていました。

ちささこ:フォロワーも2000人以上いて、プライベートのアカウントとも使い分けていましたよね。突然消すと決まって正直悲しかったです…。どんな理由が?

シンシ:大学3回生の夏に進路を考えるタイミングがあって、実際にプロのカメラマンの現場を見たんですが、衝撃を受けちゃって…。今の自分の写真との向き合い方について、このままじゃいけないなと感じたんです。

キョウハナ:プロの現場はそんなに衝撃的だったんですね。

シンシ:はい。今まで、SNSで評価されればそれでよしと思っていたのに、現実を見たというか…。まさに現実はそこにあって、SNSは虚像に過ぎないんだなって。このタイミングで、ひとつの覚悟としてSNSを辞めよう。自分の写真に対して、いいねの数に惑わされずに向き合う時間が必要だ、と。写真は自分のホームページにしか上げないって決めたんです。

キョウハナ:それは凄い覚悟。アカウントを消すってすごくネガティブなイメージがあるのに。

ちささこ:前向きで、ポジティブな理由だったんですね!それにしても発表が急でしたよ!(笑)

シンシ:そうなんです。いつも行動が突然で(笑)

ちささこ:Instagramに写真を投稿していたときは、きっかけのお話にもありましたがポートレート写真の作品がほとんどでしたよね。今回の展示ではスナップ写真を中心に展示されますが、作風が全然違います!

シンシ:スナップとポートレートはそもそも自分の中で分けていて、撮るときのスタイルも全然違うんです。ポートレートは、『人と人』の中から生まれてくるもので、わりと深く考えすぎずにノリというか、その場に身を任せて流れで撮っています。スナップは、『自分と世界の現象』から生み出すもので、ハンティングしに行くような気持ちで撮っています。

キョウハナ:どっちも偶発性はあるけど、スナップは「より自分から」撮りに行くような感覚なんですね。

シンシ:そうそう、狩りに行くような気持ちで撮っています!

スナップ
ポートレート

‪             

キョウハナ:この構図は絶対に来る!って思ってシャッターチャンスを狙って待つ人もいますよね。“撮り鉄”みたいな。

シンシ:いい場所を見つけて待ったりもしますよ!10分、15分待って何も起きなかったり(笑)

キョウハナ:でもその時間って虚無ではなくてものすごくプライスレスな時間…

シンシ:うんうん。待つときもあれば、目的地に向かうまでの間で凄く良い瞬間に巡り合えたり。今日は撮る!と決めた日は常にアンテナを張って手にカメラを持ったままひたすら歩きます。

ちささこ:世の中の多くの人がなんとも思っていないモノに対して、改めて向き合ってみるのって面白いですよね。私の最近の制作テーマとも似ていて親近感湧きました〜。みんなが素通りしている景色も、改めて観察すると特別に思えたり。

シンシ:分かります〜!

キョウハナ:良い!って思う瞬間が、自分にしかないものであればあるほど、それを評価してくれる人の気持ちって深いと思います。SNSでは、そう深く思ってつけられたいいねも「1」、流し見ながらつけられたいいねも「1」。最初のInstagramの話とも繋がるけど、いいね数とかフォロワーとか、数字って無機質なんですよ。だからあえてホームページにしか作品は載せないんですね。

シンシ:ホームページだけじゃなく、今回のような作品展でもそうですね。キョウハナさんの言うような、いわゆる深いファンの人達を大切にしたいなって思います。アイドルじゃないですけど(笑)まず私の思考に興味を持ってくれて、そこから作品を見て、中身のある評価をしてくれる人の話を聞きたいと思うし、出来ればそういう人達とお仕事がしたいですねー。

キョウハナ:確かに。いや〜、消費物を発信していたら消費されるのは当然よね…。

ちささこ:消費されたくないな…。

キョウハナ・シンシ:わかる〜〜〜!!!

キョウハナ:うわあ…、なんか、インスタやりたくなくなってきた(笑)

一同:(笑)

ちささこ:沢山の人に見てもらえる環境、つまりあのInstagramを自ら離れたことは、多くの人からはもったいないと思われるかもしれないですね。でも実は沢山の注目を浴びるよりも、自己満足だけで完結するほうが楽だったりするんですか?

シンシ:はい。今は、めっちゃ地に足ついてるって感じがします!本当にいいね数に感情を支配されていたんだと実感しますね。すごく気に入っている作品でも、目の前の数字に影響されて『うわ、これ伸びひんやん…。』って。そのせいで自信無くしたり。

キョウハナ:自分の気持ちより、他人の評価を気にしてしまってたんですね。

シンシ:今は、写真を見てもらう場所が「人」対「数字」じゃなく「人」対「人」なんです。すごく楽になりました。インスタは辞めてほんまによかったって、すごく思います。

ちささこ:アカウントが消えちゃったこと、悲しかったけど、ここまでの話を聞いてすごく応援したい気持ちに変わりました!

キョウハナ:将来はどうなりたいですか?聞かせてください!

シンシ:とにかく、写真を撮って生きていく。覚悟をもって、写真と向き合っていこう。って決めています!最初はカメラマンのお仕事をしながら、ゆくゆくは作家として活動できたらなと思います。

キョウハナ:かっこいい…!世の大人たちに言いたい!21歳のこの覚悟!今の若さで、そこまでの決意が出来るのはミサさんの大きな強みですね。

ちささこ:本当にそう思う。凄いなあ。進路は全然迷わなかったんですか?芸大でも周りはほぼ就活だと思うけど…。

シンシ:迷わなかったですね〜。自分が頑張れるものを見つけたんだから、そこに向かわない選択肢は無いです。あとは進むだけです!

ちささこ:はあ〜…。刺さるなあ。いいなあ。確かにそれ以外無いな。

キョウハナ:やりたいことがある幸せ。気付いてない人も多いと思う。

シンシ:そう、やりたい事があるって幸せです。やりたい事が無いと言う人も多い中、せっかくやりたい事があるのにやらない理由を探す人が多いですよね…。無責任には言えないけど、本当にもったいないと思います。

ちささこ:その通り過ぎる。

油絵の作品。石をモチーフに制作している。

ちささこ:しんしちゃんは、絵もめちゃくちゃ上手いんですよ。私は高校と大学も同じだから芸大受験の苦労も知ってて…。絵を描く事で培ってきた感覚は、写真にもすごく生かされていると思います。

シンシ:絵と写真は私の中で完全に分けて考えてはいるんですが、写真も絵も、お互いに良い影響を与え合っているな〜と感じます。

ちささこ:高校の卒業制作の作品、ほんっっっとに凄かった……!!!

キョウハナ:目血走ってるよ。

高校の卒業制作。この精密さで大きさはなんと約130cm×100cm。
(一人暮らしの冷蔵庫くらいの大きさ…)

ちささこ:いや、ほんとに、絵作りの基礎をガチガチに叩き込まれているからこそ、一瞬で撮るスナップ写真が洗練されるんだと思う。

シンシ:ああ〜、そこは私も感じている事で、最初に絵をやっていたという事が写真に良い影響を与えてくれてて。やっぱり構図とかは特に体に叩き込まれて染み付いてて…(笑)だからこそ、そこは今後の課題になってくると思うんですけど…。

キョウハナ:ああ〜、お利口さんな構図になってしまいがちって事ですか

シンシ:そうなんですよ〜!

キョウハナ:でも、しんしちゃんの写真の『綺麗!』って思う感覚って、しんしちゃんが絵を描く事で積んできた圧倒的なトライの数がものを言っているんだとと思いますよ。アウトプットの方法が違うだけで根幹は同じ。

シンシ:やっぱりどこか繋がってるところがありますよね。スナップを撮りに行く時も、撮りたいと思えるセンサーを広げられるのは絵を描く自分がいるからなんだろうなと思います。

ちささこ:絵を描くのはものすごく時間がかかるけど、一瞬で撮れる写真の中にはその長い時間が生きているんだろうなあ。

シンシ:絵を描いている時に得られる事が写真に活きるし、写真を撮る時に得られることも絵に活きる。どちらもやってて良かったと思います。

個展リレーにて展示中の「日傘のおじさん」

ちささこ:今回の展示のコンセプトを教えてください!

シンシ:今回の展示では、人を中心に扱っています。普段歩いてる中で見る、ちょっと目立つ人とか、目立たないけどなんとなく気になる人とか。ふと人を見て、『この人はどんな人生を歩んでいるんだろう』って考えた事ないですか?『自分以外の人がこの世界に生きている』という事を改めて考えたり。

ちささこ:その感覚めっちゃ分かる。

キョウハナ:分かる分かる。考えたことある。

シンシ:その誰かの人生を想像して想いを巡らす、っていう事を写真でもできるんじゃないかって。

ちささこ・キョウハナ:素敵すぎる〜〜!!!

シンシ:今回のテーマは『ONE’S』です。『ONE’S』には、『その人の』とか『誰かの』って意味があります。海外の、日本以外の知らない土地で知らない人がそこで生活している、という事に思いを巡らせて欲しい。写真の外に思いを巡らせて欲しい。と思っています。

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