関西のベンチャーファッションブランド”ヒト”の結成から未来まで

関西のベンチャーファッションブランド”ヒト”の結成から未来まで

ファストファッションの蔓延による環境問題等が問題視されていたかと思えば、エシカルファッションやサステイナブルファッションの流行など、いつの時代もその時々の社会状況を色濃く写してきた “ファッション”。
最近ではALL YOURSが「現代の人たち一人一人のニーズにぴったりとはまるファッションの提案」をテーマに “365日着られる服”を制作・販売。さらにクラウドファンディングを実施し、24ヶ月連続目標金額達成するなど、個人にとってのファッションの意味を問うようなブランドが台頭しつつある。
そんな中、2018年6月、「人々の応援」をテーマにしたファッションブランド “ヒト”が、中国地方出身の3人によって立ち上げられた。それからたった3ヶ月後の12月に大阪・堀江で開催したポップアップストアには300人のお客さんが集まり、全品完売となった。今回は彼らが関西からファッションに乗せて発信するメッセージと、これから描く未来に迫る。

3人の”現状のブレイクスルー”から始まったブランド、ヒト

濱田(インタビュアー):
最初に結成のことを聞きたくて。やろうぜ、って1番最初に声をあげあたのは誰ですか?
大川航   (以下、大川):
結構漠然としてて。それぞれ3人の色々なタイミングが重なって立ち上げることになった。
岡田健吾(以下、岡田):
初は俺がずっとブランドを立ち上げたいって思ってて、でも立ち上げるほどの行動力はその時はなかった。
大川:
で、岡田の誕生日パーティのタイミングで色々話して、「お前は口だけで情けない、何がしたいんだ」って詰めたの(笑)
岡田:
めっちゃ詰められた(笑)。それからたくさんのことを考えた。そもそも大学1年生の時は本当に何もしていなくて、でも2年生に上がるタイミングで、キャンパスコレクションっていう、学生が主体となってファッションショーをはじめとする大規模なエンターテイメントショーを運営していく団体と出会った。
そこで活動してると “新しい価値を自分の力で創り出している人たち”にたくさん出会う機会があって。改めて自分の将来を見つめてみると、今の現状を変えないといけないと強く思った。そして何より、自分に未来を考えるチャンスをくれたキャンパスコレクションのように、「きっかけ」みたいなものを自分の好きな “ファッション”を通して伝えていきたいと思った。
大川:
いざこういうの聞くと初心に帰るな(笑)

岡田健吾

濱田:
佐野君はその時どんな状況だったの?
佐野愛樹(以下、佐野):
俺は高校卒業後就職した。たくさんの選択肢の中から「就職」という選択肢を選んだというよりは、なんとなくその場の空気に流されて決めた。一流企業ではあったけど、自分の個性や内なるものを発信していける場ではなかった。
そして何より、これから40年間頑張っても役職の天井があることも分かっていた。言ってしまえばあの人と同じ様な人生しか歩めないんだなって。だから何か行動したいと思っていたけど、度胸もないしそんな環境でもなかった。そんな時にブランド立ち上げの話があって、心の準備はできていたから、「あっやります」って感じだった。(笑)

佐野愛樹

濱田:
二人とも、現状不満足というか、もっとこうありたいという姿と現状の姿とのギャップを感じていたときに掴んだチャンスだったんだね。大川君は?
大川:
俺は、同世代や自分に近しい世代の人たちに対する不満が最初の大きなモチベーションだった。俺もキャンパスコレクションの運営メンバーだったけど、何かしたいと集まる意識の高い学生に対してすら「まだ足りないな。」って感じてた。
今の学生たちは、色々な選択肢に恵まれているのにも関わらず、それに感謝するどころか気づくことすらないまま、簡単に「大学やめたい。」「やってる意味がわからない。」なんて言葉を吐き捨てる。その現状に対する不満や疑問みたいなのがスタートだった。
濱田:
じゃあ三人とも、根底には自分自身や周りの環境に対してブレイクスルーを起こす必要性、みたいなものを強く感じていたタイミングだったわけだ。

大川航

ヒトはファッションで人々を応援する


濱田:
大川君は、そうした日本の若者たちの現状を不満に感じるきっかけみたいなのがあったの?
大川:
俺は結構幼い頃から恵まれた環境で育った。幼い頃から発展途上国のスラムをみる機会があって、その時の衝撃を今でも覚えている。自分の親父よりも年上の人たちが、小学生の自分にお金を乞う。その時はただ”衝撃”で終わってしまったけど、その経験を大学生になって改めて振り返った時に、さっき言った若者に対して大きな疑問や問題意識を持つようになった。
というのも、自分は努力せずに高校受験に失敗して、その後たくさん努力したけど大学受験も失敗して、自分は何も持たない無力な人間だと思い知らされた。その現状をどうしても変えたくてキャンパスコレクションで活動を始めたわけだけど。そこで出会った人の中には、可能性に満ち溢れ、向かっているモノにワクワクしている一方で、人生の話になると「今ある選択肢に誇りを持ちきれていない」ような人達が少なからずいた。
そんな人たちを見て思い出したのが、あのお金を乞うてきた発展途上国の大人たちの顔だった。今の若者は、大学を辞めてもフリーターとして生きる選択肢があり、フリーターを続けられなくても生活保護を受けるという権利があり、そしてホームレスになったとしても人権という最後の受け皿がある。一方であのスラムの人たちはいつも「生きるか死ぬか」というたった一つの選択肢のなかで生きている。
そのギャップに疑問と、同時に可能性も感じた。もし日本の若者が選択肢に恵まれている現状を理解したら、もっとみんなポジティブに頑張れるんじゃないかなって。そして、そうやってポジティブに頑張る人たちを応援したいと思った。

濱田:
大川君のこの考えに2人も共感した?
佐野:
俺は小学校3年生の時に、2週間くらいタイとチェンマイにおじいちゃんと行った。現地の旅行会社の人と仲良くなって、その人の息子とも仲良くなって、なんとなく「どこに住んでるの」と聞いたら、「施設に住んでいる」と。しかもその施設は、1日1食しか出ず、住んでいる人はみんな雑魚寝で寝てる。
小学校3年生ながらに、あの時受けた衝撃を今でも 覚えている。自分は家に帰ったらご飯があって、両親がいて、寝床があって、それを当たり前だとおもっていたから。あと、バンコクのスラム街の裏にマーケットがあって、スラム街を一瞬通った時に、便器が見えて、垂れ流しで、おじいちゃんに「これがスラム街だよ」って言われたのも衝撃的でよく覚えている。だから大川のさっきの話は自分も大きく共感するところがあって。生きるのに精一杯な世界を当時見ていたことが大きかった。
選択肢っていう話で言うと、ブランド立ち上げ前の自分の現状にも繋がってて。嫌って自分で分かってても、毎日8時に起きて、16時半に終わって帰宅するということを月曜日から金曜日まで繰り返して。選択肢はアホみたいにあるのに。
だから当時の体験と自分の現状、2つ共感した部分があったんだよね。

濱田:
岡田君は?
岡田:
俺はスラム街どころか海外も行ったことがないけど、自分自身が選択肢が多くある中で、自分の本当にやりたい選択ができているよな人間じゃなかった。そこからキャンパスコレクションに出会い、ブランドを立ち上げると決心してやっと前に進み始めた。自分が決めた道に向かって頑張っている姿を見て、モヤモヤしてまだ迷いのある人たちに、何かを見つけてもらえるきっかけになればいいと思った。
濱田:
なるほどね。人生は選択の連続で、世界を見るとその一つ一つは決して当たり前にテイクできるものじゃない。だからこそ、今まで選んできた道を大切に抱きしめて、これからの道を丁寧に選んでいってほしい。”ヒト”はファッションブランドというメディアを通して、そんなメッセージを発信していくことにしたんだね。

ヒトの3人の揺れない「哲学」

濱田:
結成が2018年の9月で、それから半年以上経ったわけだけど、今まで色々してきたんだよね。どんな風に歩んできた?
大川:
この年代のファッションブランドって長く続くってイメージがないじゃん。岡田も俺もまだ学生だし、佐野は社会人だし。だからまずは大きな最終目標というよりは、手の届く範囲の目標を立てた。
それが、レセプションパーティの開催と、12月にポップアップの開催。ポップアップの集客目標は300人だって。で実際に開催して、300人の目標は達成。服も完売した。

前回のポップアップストアの様子

濱田:
300人ってエグいよね。(笑)ポップアップを開いてみてどうだった?
大川:
俺らが本当にやりたいことと、現状との距離感は掴めたかな。偏差値50以上って感じ。(笑)それで間延びしないように、年明けすぐ目標を立てた。
6月にポップアップ、8月は人々が繋がれる場づくり、12月に再度ポップアップの開催。
濱田:
なるほどね。大きな目標をまた今年もぶっ立てたわけだ。(笑)今年もたくさん大きなことに挑戦していって、多分ヒトというブランドも、三人自身も色々な変化をし続けるんだと思う。
そういう変化していく部分があれば、これだけはブレない哲学として変わらずあり続ける、みたいなものがきっとあると思うんだけど。そこで質問で、ヒトから色んなものを全部取っ払って最後に残る『哲学』みたいものって何かな。
大川:
それはいつも言ってるから3人とも同じ答えだと思う。あれしかないでしょ〜。(笑)
岡田:
あれだろ!(笑)他のブランドと違って、俺らのブランドから全部取っ払っても残るもの。あれだろ。 (笑)
佐野:
覚悟なんよ!
岡田・大川:
覚悟なんよ〜(笑)
濱田:
仲良し。(笑)
佐野:
俺らよくいうんよ。俺たちは覚悟が違うって。俺すぐにでも会社辞めれるくらいの覚悟はある。
大川:
それくらいの覚悟を持っていないと、人なんて変えられないしね。揺れない哲学だよね。
濱田:
人を変える、と言うところに対する責任という意味での覚悟なんだね。
大川:
スタートした時から、俺たちが目指しているものは簡単じゃないし、やり続けなければならないって気持ちだった。やり続けたことに結果は必ず付いてくると。だから俺たちは覚悟を持ち続けて、発信し続ける。

メッセージ

濱田:
最後に、三人からこの記事を読む人にメッセージをもらえるかな。たくさんの人が読むので覚悟を持って伝えてください。(笑)
岡田:
俺はデザイン部門で、1から作るバチバチにイケてるデザインを作っていくわけで、そこのメッセージ性も感じてほしいし。ドンドン成長していって、目標となってもらえる人間になりたい。「ヒト」の岡田ってやべえ!ってなって、何か感じて自分たちのやりたいことを見つけて走って欲しい。そういう関係を俺たちが絶対作る!佐野:「ヒト」は学生2人と社会人1人でやってるわけだけど、俺は社会人に見てほしい。会社の同期とか、環境がなくて自分が発信できてない地元の友達とか、俺の姿を見て、動力源にしてほしい。俺でもいけるんだよって、成長していっていく姿を見て、その人たちにも成長してほしい。やりたいことで生きていく、固定概念に囚われない、自分を表現する生き方っていうのを、1社会人として俺の姿を見て、頑張ってほしい。「ヒト」のコンセプトである、「ヒトはファッションでヒトビトを応援する」ってところにも繋がるし。俺でもできるからできるでしょっていうのを形で伝えたい。社会人は俺の姿を見ろ!
大川:
仕事とか何するにしろ、「社会を良くしたい」「人々の暮らしを良くしたい」とかの結局ゴールは一緒。その中で誰かに引っ付いてやっていくのか、自分が新たに作り出して引っ張ってやっていくのか、っていう違いは生まれると思う。だったら、スタートから何かを立ち上げて、誰に何に言われようとも、何かをクリエイトするっていう存在はこの世界で重宝される存在だし、そういう奴らでしか変えられない世界とか使命とかは絶対ある。新たな一歩を踏み出せる人が増えればなと思う。濱田:ありがとうございました!6月のポップアップ楽しみにしてます!

今回の POP UPに関して、
我々が〜hito fashion〜にて、
掲げている、「固定概念の破壊」を
メインテーマで進めていく中で、
今回の POP UPテーマは「innocent」
何故、このテーマなのか、
ここには僕達の重要なメッセージが隠されています。
しかしながら、
解釈は人それぞれです。
いや、それがむしろ人の美しさです。
それぞれの解釈を尊重します。
正解は沢山あります。
私、自身の正解を強いて、言うなら、
受け取った人達が、これを通し
自分自身の可能性に投資できる、きっかけになるという解釈が正解であると思います。
僕達は人それぞれに圧倒的に向き合います。
しかし、本質的には同じかもしれませんが、
人事とは違います。
僕達は、服を通してメッセージを送り
服を通して、変われる居場所を作り、
服を通して、世界を変えます。
覚悟を圧倒的に持って、
第2弾の POP UPを開催します。
沢山の、ご来場をお待ちしています。

Writer / Hamada Rin @008BMA
Photographer / Iwagoshi Daichi @g_____osiii

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