「自分の絵が合う世界を見つける」1本のペンで世界を創り出すイラストレーター松本真之

「自分の絵が合う世界を見つける」1本のペンで世界を創り出すイラストレーター松本真之

緻密な線画と、そこに広がるファンタジーな世界。思わず見とれてしまう、彼の絵のもつ独特な力とはなんなのだろうか。一本のペンで世界を生み出す、イラストレーター松本真之さんにお話をお伺いしました。


平野:BOY MEETS ARTの平野です。今日はよろしくお願いします!

松本さん(以下松本):お願いします。

平野:松本さんは絵のお仕事をされてると思うのですが、昔から絵が好きで、そのまま将来は絵を書くことを仕事にしていこうと思われていたんですか?

松本:最初は漫画家を目指してたんです。というか普通に大学に通っていたんですが、在学中に漫画描きたい!と思って。一旦休学してフリーター生活でコンビニで深夜働いて、仮眠とってTSUTAYAで働いて、、っていう生活をして学費を貯めて、専門学校に入学したんです。

平野:それは大学を卒業してから、ですか?

松本:いや、大学を中退して。2年の途中に中退して、入り直したんです。

平野:ええ!大学をやめるって勇気いりますよね、、!

松本:今思えば専門学校は必要なかったと思うんだけど、それすらも知らなくて笑 
もともと絵は好きだったけど、ノートに鉛筆で書いてるくらいでした。

平野:ええ、!すごい、!では大学くらいから本格的に描き始めたということですか…?絵を描いている方って、昔からずっと描かれているのかと思っていました…じゃあ、今の松本さんの画風も独学なんですか?

松本:あれは、最近ですね。漫画をやめてからです。卒業してから6年くらい漫画を書いていて、うまくいかなくて、やめようって思ってるときに地元のイラストレーターの先輩に「やってみたら?」って言われて。

でも、やってみたらって言われたものの、今まで原稿にペン入れをしてたから、デジタルって難しいなって思って。デジタルってグラデーションとかも難しい。だから自分ができることって漫画で培った細かく描く技術だなって思ったんです。それをデジタルに反映させたのが今の形ですね。

平野:それは強みですね…。漫画家を目指されていたからこそ線が生きるんですね!

葉の一枚一枚、輪郭線がはっきりと描かれている

平野:なぜ絵をお仕事にしていこうと思われたんですか?昔から絵がお好きだった、とか…?

松本:いや、どっちかというと、漫画にハマって。だから絵が好きになったのはイラストレーターになって、いろんな人に出会って、いろんな作品見てからかな。それまでは絵はどうでもよくて。あの世界を一人で作ってるのがかっこいいなって思いました。絵には感動させる力があって、そこに惹かれましたね。

平野:なるほど、絵が作り出す世界観そのものに惹かれて絵を書いて行こうと思われたんですね!今は、絵のお仕事はどのような経緯で、依頼されることが多いのですか?

松本:いや、今はまだ絵だけで食べて行けてないから、絵画教室とかアートイベントとかしてるんです。それの比率をちょっとずつ絵の方に増やして行ってる段階かな。

平野:じゃあ今は3つくらい色んなお仕事をされてるんですね!

松本:そうですね。絵画教室では小学生とか中学生に絵を教えてます。子どもの絵の遠近感って4年生くらいで身につくらしくて、それまでは教えても分からないから、子どもの好きなように描いてもらってます。中学生の生徒にはバリバリ教えてるけど笑

平野:絵画教室、楽しそう!ではその他の活動では、松本さんの作品は完成したら出展されたりしてるんですか?

松本:今はそんなに数が多くないから、展示とかライブペイントとかして見てもらえるようにしてるかな。商業的にやれば仕事もあるよってアドバイスされたこともあるんやけど…

平野:商業的、とは?

松本:例えば僕の絵って細かいじゃないですか。そういうのをやめて、キャラとか世界観とか表に出していけばもっと仕事につながる。仕事として求めるのは、広告の端に絵があるとか、老人ホームの看板とか、そんな感じ。ちゃんとした絵は求めてないんですよね。

平野:なるほど、「商業的」とは、自分の書きたい絵を描くというより、お願いされた絵を描く、ということなんですね。

松本:でも、それ僕はやりたくないなって思う。そう思う反面、そうやって描ける人ってすごいなって思います。やったらできる、っていう人もいるけど、実際できるのかっていう。だからそういう人はすごく尊敬します。

僕の目標は、こういうのも書けますよ!じゃなくて、自分の絵が好きで、依頼が来ることですね。

平野:将来的には絵を書いて販売する形でお仕事をされていくんですか?

松本:絵を売ってではないかな。絵を売ってお金にしたら画家さんなので。CDジャケットとか、挿絵でもいいねんけど、自分が合わせるんじゃなくて、自分が合う世界があればいいなって思う。

そのためには一人でも多くの人に知ってもらわないといけないですね。
基本的にはその絵がどう使われるのか。

平野:確かに、絵を購入すると、購入した人だけが見て楽しめるようになってしまいますもんね。画家さんで絵を売らない方もいらっしゃいますし、絵を売るんじゃなくて使ってもらうことが理想なんですね。

松本:そのほうがいろんな人に寄り添える。画家さんって絵も高いし、買った人がすごく大事にしてくれると思うけど、みんなに知ってもらった方が僕は嬉しいかな。

平野:松本さんの絵には何かこだわりはありますか?

松本:作業ツールとかはあんまり使わないんだけど、自分の今ままでやってきたことを置き換える作業だから、デジタルの新しい技術を入れる、というよりも、今まで通りに書いてます。

あとは、作品の中にだいたい女の子を描いてるかな。女の子のファッションが可愛いから世界観にあう服を考えるのも好き。

平野:確かに!女の子のファッションって振れ幅が大きいですもんね。


松本:あと、年齢もだいたい同じくらいにしてて、少女と女性の間くらいにしてます。”女の人”を描きたいんじゃなくて、妖精のような、そこにいる生き物のように書きたいんです。性別もはっきりしないような年代で描いています。

女の人が森にいたら、そこに迷い込んだのかなってなるし、女の子だと、遊びに来たのかなってなると思うんです。男の子って子どもの時から大人まで男の子だと思うんです。でも女の子は、途中で女性になる感じなんで、その時期を描いてます。

あと、可愛いけど、美少女愛にならないように気をつけてます。

平野:なるほど…世界観のテーマっていうのはあるんですか?絵によって雰囲気も違うと思うんですが。

松本:一つの街を一気に見れたら面白いなって思って。構図を先に決めて、蟻の巣を横から見た感じというか、シルバニアファミリーの開けれるお家みたいな感じで、一つの街を一気にみれるように描いてます。遠近法とかは無視して書いてます。自分でもどうなるか分からず書き始めてるかな。

だから、その時思いついたことを描いてるから、遊び心も入ってる笑
いちごがケーキにされたくないからパティシエから逃げてる、とかね。

ほんとだ、いちごが拗ねてるみたい

平野:今後、松本さんの絵を見れる機会はありますか?

松本:9月7日からLINDA HOSTEL 106で展示、あと、天六の85ST(コーヒーショップ)の壁のペイントはもう描いたからずっとそのままですね。9月7日からワールドタイムズっていう夙川のカフェギャラリーでも展示販売をします。

平野:同時開催なんですね!楽しみです!

85st coffeeのウォールアートと松本さん

平野:今後はどう活動されていきたいとかの展望をお聞きしたいです!

松本:今は知り合いとか、インスタのDMから依頼がくるから、来年は仕事をどんどん依頼してもらえるように体制を整えていきたいですね。

将来は、基本的に今とやってることは一緒だけど、規模を大きくして、アパレルとか、CDのジャケットとか雑誌の表紙とかをやりたいですね。今もそれに近いことはしてるけど規模は小さいので。仕事に上下はないけど、一人でも多くの人が見れる物に関わりたいと思います。

平野:至る所で松本さんの絵が使用されることで、より多くの人に見られますもんね!

松本:最近は、アナログの手書きの絵もし始めてて、ペン画のよさをもっと出せたらいいなと思います。目標は広い世界だけど、狭いコミュティでの活動も大切だと思うから、手書きは、狭いところでやっていきたいなと思います。手書きでペン画の良さをもっと出せたらいいですね。

85st coffee
爽やかな印象でゆっくりできそう

イラストレーターになられる前に様々なキャリアを積まれていた松本さん。描かれる絵には松本さんの”好き”と松本さんの”人生経験”が詰め込まれていました。

9月7日から開催されるLINDA HOSTEL 106での展示では松本さんが在廊されるので、ぜひ来ていただけたらと思います!

松本真之
Instagram@m.saneyuki

85st coffee
Instagram @85stcoffee_jp

writer/ Hikaru Hirano
photograph/ Daichi Iwagoshi

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