「好きな物も人もちゃんと好きなままで」。建築家を目指す20歳、山本花純が “本当の”居場所を見つけるまで

「好きな物も人もちゃんと好きなままで」。建築家を目指す20歳、山本花純が “本当の”居場所を見つけるまで

山本花純(やまもとかすみ)さん

やりたいことを全部やる、断らない

皆さんは「子供・若者白書」をご存知だろうか。内閣府が毎年国会に提出する、子供・若者の支援実施状況の年次報告書だ。そこで平成26年度に発表された結果が、『居場所の多さと、生活の充実度は比例する』というものだ。確かに、所属するコミュニティが多い人の方が普段から活発的で楽しそう、という印象がある。

武庫川女学院に通う山本花純(やまもとかすみ)さんは、“かすみん”の愛称で親しまれ、彼女もまた複数の居場所を拠点に活動している。大学では建築家を目指して勉強している一方で、グラフィックデザイナーとしても活動しており、有名朝番組『す・またん!』の小道具製作や、1998年生まれの人を対象にしたイベント『1998』の開催など幅広く活動する。

「やりたいと思ったことを全部やる、断らない。」とニコニコした笑顔で話してくれた彼女だが、昔は自分の“居場所”というものに違和感を感じて生きていた。そんな彼女が今、”本当の意味での居場所” を楽しめている理由に迫る。

誰かの作った “こうあるべき”という姿

こうあるべき、という考え方は、社会の「一般」を形成する上で重要になる。しかしそれはときに人を苦しめ得る。誰かの描くこうあるべき、という姿と、本当の自分とのギャップが悩みや葛藤を生み出してしまうからだ。

花純さんには2歳差の妹がいるが、妹は小さい頃から人づきあいが上手でスポーツもでき、それを両親によく褒められていたそう。一方花純さんは、何をするにも時間がかかってしまい要領の悪い女の子だったという。そんな中、勉強を頑張って成績をあげると両親や先生に褒めてもらえる、ということに気づいた彼女。そこから、誰かの作った “勉強のできる真面目な女の子” というイメージと、自分とを無意識に重ねていくようになった。そうすることで 居場所 “みたいなもの” を手に入れたと感じていたのかもしれない。

建築士になりたいと思ってたけど、将来の夢を聞かれて公務員と答えた

小学生のときに抱いた夢を今でも追い続けている人はどれくらいいるだろうか。それを忘れてしまった人も多いかもしれない。夢を抱くことも、もしかすると難しいことであるが、成長すると周りの人たちは現実を語るようになる。そうして抱いた夢はいつの間にか、現実に埋もれて見えなくなってしまう。

父が建築に関わる仕事をしている影響か、花純さん自身も小さい時からインテリアの雑誌を見たり、家具のチラシを見たりするのが好きだったという。それが転じて小さい頃から建築士を目指すようになった。

しかし、どこか『自分の好き』に忠実になれなかった彼女は、夢を聞かれても「公務員」と答えていたという。それが周りの求める答えだと考えたからだろうか。高校生の時には、好きなことを仕事にしていいのか、という問いに悩み、現実的に安定しそうな仕事ということで看護師を目指したこともあったという。

好きなことするために学校やめたりする人なんておかしいと思ってた

そうして、周りの期待を気にかけて生きてきた花純さん。そうするうちに、自分の考え方も “こうあるべき” という固定観念に縛られるようになってしまった。

大学に進学するときも、 “いわゆる大学生”みたいな大学生活を想像していたという彼女。しかし、そうした生活を、ある意味 “夢見て”入部した野球部では、周りとの価値観のズレにだんだん息詰まりを感じるようになってしまった。

自分らしくいることも、周りを大事にすることもできなかった彼女の“決意”

今まで、誰かの期待や希望に応えることで得てきた 居場所のようなもの。しかしいつの間にか、その居場所では、自分らしくいることも、周りにいる人を大事にすることもできなくなってしまっていた。花純さんはそんな自分をどうしても変えたくて、2017年10月04日、自身のインスタグラムに強い“決意”を投稿した。

「好きな物も人もちゃんと好きなままで」

今まで自分の「好き」に本当の意味で正直に生きてこれなかった彼女。この日から、自分の好きにもっと正直になることと、好きなことを好きで居続けることを大切にした。そこからもっと世界が広がったという彼女。色々な分野で活躍する同世代と出会い、憧れを抱いたと同時に、自分が夢中になれるものも見つけた。グラフィックデザインも、カメラも、その時期から始めた。

「誰かに認められたいから」「誰かに期待されているから」という動機ではなく、「本当にしたいから」という理由だけが彼女を動かしていた。そうして1年が経ち、気づいたら彼女の周りには、自分を大切にしてくれる人がいて、自分が大切にしたいと思う人達がいた。誰かの評価や批判なんて雑音だと思えるほど、自分が自分らしくいられる、 “本当の”意味での居場所ができていた。

インタビューの間、花純さんは自分が好きな人や尊敬する人を、嬉しそうな顔で何人も紹介してくれた。本当に彼ら彼女らが好きで大切にしていることが、花純さんがみんなから愛されている理由なのだろう。改めて花純さんに、今の居場所を楽しめている理由を聞いてみた。大切なことは、複数のコミュニティで「自分が好きと思えることに正直にいること」と「刺激をくれて高め合える人がいること」だという。時には、お風呂で自然と涙がでるほど忙しくなることもあるというが、それでも幸せだと堂々と語ってくれた。

本当の意味での居場所を見つけた彼女は、今日も自分らしく輝いていた。

Writer / Hamada Rin @008BMA
Photographer / Iwagoshi Daichi @g_____osiii

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