【Culture Club Magazine vol.2】写真家 小野海斗

【Culture Club Magazine vol.2】写真家 小野海斗

” たった1人横に居る人を、笑わせられるように ”

街ゆく人々の顔色を伺い、気づけば息継ぎすらもできなくなっている。それが当たり前になってゆく。

いつの間にか変わりきった私たちは、一体何を忘れてしまっていたのだろうか。

 

Writer / Chihiro Imazu (BOY MEETS ART)

 

Culture Club magazine 連載第二号。今回インタビューを行ったのは、写真家 小野海斗さん(21)。

大学を中退後、団体での活動や旅などを経て、大阪を拠点に写真活動を行っており、2月7日ー14日にかけてカルチャークラブで開催された自身初の個展、『Beach Vibes』にて総勢100名以上を動員。つい最近、沖縄へ移住しました!

彼と写真

━━今津:それではインタビュー始めるね、何気インタビュー初めてなので緊張してます。

 そうなんや(笑)まあ緩くやろう、よろしくー!

━━自己紹介お願いします。

 …小野海斗です(笑)別に肩書きとか、名前の前に言うとかなあかんもんないねんな(笑)

━━確かに、海斗はいい意味で肩書きがないイメージ。

 せやな(笑)今は21歳で、大学2年の夏に大学辞めてる。その後、団体で活動したり、放浪して、世界一周しようとしてたり。結論から言うと、1カ国でやめてるけど。

━━なるほど、、、特殊な経歴!海斗が写真始めたのはどういうきっかけで?

 元々旅が好きで、旅しながら写真撮るやつカッコよくね、みたいな感覚で始めた。カッコつけやから(笑)当時は綺麗な写真が取れたらいいかなというただそれだけだった。

━━写真を始めて今に至るまで、写真における変化はあった?

 Lampbox(BOY MEETS ART主催のイベント@LINDA HOSTEL 106)に参加した時、カメラの感覚が変わった。
 それまでは、自分の写真に対しての感情はあまりなかったけど、周りの人たちに、「ここがいい」とか褒められた時、単純に嬉しくて。写真って何?という疑問を持ったり、自分の写真というものを考え始めたのがそのタイミングだった。まだまだ答えなんて出てないけど(笑)

 今の写真は結構わかりやすくて、作品を撮るぞ、というよりも、散歩行くぞって感覚で撮る写真が好きだったりする。今はそういう意気込んでない日常の一部としての撮影が好きで、それでこそいいものが撮れたりする。

━━へ〜!変化のきっかけにボイミが…(照)

 

自身初の個展『Beach vibes』

 

━━今回の展示は『Beach vibes』というテーマだったけど、ここに込められた想いは?

 今回の展示会の写真は、全て沖縄の一つの街の様子を撮影したものやねんけど、そこの街の人たちは、初対面であろうとなかろうと、カメラを向けたら笑顔をくれるし、僕の肩書きや仕事とかは全く気にしてない。彼らは、まさに単純に目の前の人に対しての優しさを持ってる人たちだった。

 『Beach vibes』というのは、言わば小野海斗があの街の海岸を歩いている時の心の状態。生きてるだけで苦しいことが多い今だからこそ、自分のすぐそばの人くらいには、優しさや愛情を持っていたい。そんな心の状態を、みんながみんなが持っていられたら、と思って今回の展示のテーマにした。

━━作品の方、私も拝見したんやけど、どこか懐かしさがあって、すごく見やすかった印象。まるで歩いてて目を少し横にずらした時にある風景、電車の窓から一瞬見えた情景、そんな安心感と懐かしさを感じたな。

 僕の写真は難しくなくて、心地いい写真って言ってもらえるかも。どんな時でも、写真に対してポジションを撮るのは結構難しいことだと思うねんな。自分なりの解釈を交えてとかはいらないから楽にみてもらえたら。その中に温度感とかを感じて安心してもらえたらいいなと思ってる。

━━温度感か、なるほど。確かにコロナで切羽詰まってたけど、こんな日常的な情景で美しくあったかい瞬間あったな、って思い出させてもらえた気がした。

 今回の展示で言えば、僕の写真は「新しい価値観や考え方を提示するもの」ではなく、「自分の中にあったはずの、忘れていた感覚」を思い出してもらう作品というほうが、僕としてはしっくりくるかな。コロナ禍での撮影だったからなおさら。沖縄のあの街にいた人たちも、すでに十分苦しい中で、この瞬間だけは楽しみたいという感覚があったのだと思う。

 都会で歩いてる時とか、マスクしてない人はもちろん、なんでもないただの他人に対してすら、嫌悪感を抱いたりすることが増えたと思う。それで大事になるのは、やっぱり、ほんますぐそこの人に対しての愛情をもてるかどうか。大袈裟なことではなくて、あの街の人たちがやってくれたように。そして本来は僕らもできていたように。

━━既にあったはずの感覚が呼び起こされる中で、不思議と懐かしさが湧いてくるのかもね。実際、初の個展はどうだった?

 心疲れた(笑)自分の中で最初は確かに固定概念に囚われてて。でもボイミは、初めて行った展示を主催してたし、そこは僕の写真における転換点くれた場所でもあったから、一緒に今回の企画が出来て本当に嬉しかった。ボイミメンバーとは友達歴が長かったからこそ、僕のことをすでに理解してくれていたし、僕自身も、等身大のままでいいものができたと思う。

 

当たり前のようにあった優しさ

 

 

━━今回の展示もそうやけど、海斗といえば「沖縄」って印象(笑)そもそも沖縄との出会いはなんだった?

 最初に、大学辞めてから世界一周しようとしてたって言ったけど、その時1カ国目のフィリピンのスラム街でたまたま沖縄の人に出会って。それでその人に、誕生日を沖縄で過ごさないかと誘われて、行った先での出会いの方向に身をまかせようと思って、その場で航空券とった(笑)そこがちゃんとした出会いになるかな。

━━すごい決断力。

 大学をやめるときに、自分のやることの判断軸を作ってて、一つは、「自分が楽しいと思えることをする」。もう一つは、「自分が誇れることをする」。この二つだけ守っていれば、何をしてもいいって決めてて。その時は沖縄に行くことが楽しそうだって直感があったからそこで選んだ感じかな。

━━実際に行った沖縄はどうだった?

 そもそも知り合いほぼいない状態で行ったけど、沖縄によく行く知人に友達を紹介してもらったり、自分でせんべろ行ってそこで色んな人と友達になったりしてどんどん知り合いが増えていった(笑)みんな本当にフレンドリーで。

━━岡山から出てきた私からすると、大阪もみんなフレンドリーな気がするんやけど、沖縄と大阪の違いをあげるなら?

 気さくな人が多いのは大阪も同じやけど、沖縄は何が違うかって、住んでる人たちの地元に対する愛情がえげつない。大阪住んででめっちゃ大阪好きやねんみたいな人少ない気がするけど、沖縄はそこが抜きん出ていた。

 会いに行った友達が、さらに友達を呼んで、沖縄の好きな場所に連れて行ってくれて。ほんまに初対面の人たちなのに、仲良くしてくれるんよ。記憶が正しければ、呼ばれて断ってた人は誰もいなかった(笑)

━━なんてあったかい世界(笑)

 一つ覚えてるのは、大きなバックパック背負って汚い格好でカフェ入ったら、座った瞬間にカレー出してくれて。お腹空いてるやろ?言うて。涙出るくらいの優しさが当たり前のようにそこにあった。しかも、みんな斜に構えて人をみていないというか。そのテンションと感覚がすごく近かったから、いい意味でカルチャーショックを受けた。

━━素敵…私沖縄行ったことないから、今めちゃ行きたくなってる(笑)

 

温もりの恩返しを

 

 

━━沖縄に移住してからの目標とかある?

 具体的には固まってないけど、自分が頑張ってくことは、必死に頑張る人たちの息抜きにしてもらえしたり、もっと優しく楽しく生きていけることを思い出してもらえるような体験を作り出していくこと。
 今までの恩返しに近い感覚。こういう価値を生み出していくプロセスは絶対に楽しいと思ってる。一度温かさをもらった身からするとなおさら。

━━じゃあ、今後の生き方は?雑な質問やけど(笑)

 死ぬまで楽しむ、それだけ。めちゃめちゃ難しいと思うけど(笑)先に言った、自分に決めた二つのルールを守って、楽しみます!

 

 

 

小野海斗
大学を中退後、団体での活動や旅などを経て、大阪を拠点に写真活動を行う。2月7日ー14日にかけてカルチャークラブで開催された自身初の個展、『Beach Vibes』にて総勢100名以上を動員。2021年2月より沖縄へ移住。

 

 

Writer / Chihiro Imazu @__09.chi__

 


  

 差し込む陽の光、微笑む街のひと。淡い情景を美しく切り取る彼の写真には、どこか懐かしさと切なさを覚える。

 最後に心動かされたのはいつだったろうか。人に出会い、刺激にまみれ、そんな中で生まれる新鮮な感情も、もう出番は減り、冷たい外の世界から隠れるように私の心の底に眠っている。

 もし、たった一人横にいる人への愛を、私たち一人一人が持っているなら。今日の世界に涙したとしても、明日はきっと誰かを抱きしめることができるだろう。

 そんな希望のかけらを、変わり切った私が、彼の写真の向こう側に眺めている。


編集後記 / Chihiro Imazu

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