「個性とチームワークが繰り出す音楽。作曲家ユニット”Lantan”インタビュー」

「個性とチームワークが繰り出す音楽。作曲家ユニット”Lantan”インタビュー」

映像を映像たらしめるために欠かせない存在である ”映像音楽”。大学に在学する傍ら、映画やドラマ、CMなど活動の幅を広げる映像音楽の作曲ユニットLantanさん。お二人が作る音楽は、多岐にわたるにも関わらず、どこか優しくあたたかさを感じます。

今回は、そんなお二人に、制作についてお話を伺いました。

Writer / 小鍛冶 麻梨

映像音楽という世界

━━小鍛冶:今日はお忙しい中ありがとうございます。宜しくお願いします。

堀本さん・馬瀬さん(以下 堀本馬瀬):お願いします。

━━まず始めに、Lantanさんの活動について教えていただきたいです。

堀本:作曲ユニットとして、映像音楽を制作しています。商業音楽の依頼をうけて制作するので、イメージとしては、アーティストというよりビジネス的要素が強いかもしれないですね。

制作の仕方としては、完成した映像を見て制作したり、まだ映像が出来ていない段階だと、脚本やお話の段階で作り始めることもあります。

作品によるんですけど、2~3時間でかける曲もあれば、数日から数週間かかる曲もあったりしますね。

━━脚本から音楽を制作することもあるんですね!言葉から音楽に変えるのってすごく難しそうです…!

 ”映像音楽” ってあまり耳馴染みのない方もいるかと思うんですけど、お二人が映像音楽に携わろうと思ったきっかけって何ですか?

堀本:僕が映像音楽に没頭しようと思ったのは大学生になってからです。

中学生の頃に音楽を始めて、高校ではバンドをしたり、DTMをしていました。進路を考えていたときに、巡り合わせで今の師匠である渡邊崇さんに出会ったんです。

レッスンを受けさせていただくく中で、少しずつお仕事を頂くようになり、渡邊さんが講師を務める、大阪音楽大学のミュージッククリエーション専攻に進学して現在に至ります。

(注)DTM:Desktop Music(デスクトップミュージック)の略。 
パソコンと電子楽器をMIDIなどで接続して演奏する音楽、
 あるいはパソコンを使用して音楽を作成編集する事の総称。
(注)渡邊崇:第37回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した『舟を編む』、
ベルリン国際映画祭で特別表彰を受けた『663114』をはじめ、
『オケ老人』『湯を沸かすほどの熱い愛』『帝一の國』など、数多くの映画音楽で活躍。
またCM音楽もアサヒ『おいしい水 富士山』、大塚製薬『ビタミン炭酸 MATCH』、
CI TI ZEN『ATTESA』、 JR『トレたび』、P&G『アリエール』など多数手がけている。
一方で、室内楽コンサート用に楽曲を書き下ろすなど、
ジャンルにとらわれない幅広い活動で知られている。

馬瀬:わたしは母親がピアノの先生をしていたので、小さい頃から音楽に触れていました。当時から「音楽に関わっていきたい」と漠然と考えてはいたんですけど、演奏者としての将来は見えなくて。

進路に悩んでいた高校生の時、「小さいおうち」という映画を見て、劇中の久石譲さんの楽曲の綺麗さに感銘を受けたんです。この楽曲がきっかけで映像音楽に魅せられて、本格的に学んでみたいと思うようになりました。

チームで作る音楽

━━ 学業もある中で、お二人がLantanとして一緒に活動し始めたきっかけってなんだったんでしょう。

堀本:作曲家の方って、1人で活動されるタイプの方が多いと思うんですけど、僕たちが師事している渡邊さんは ”チームを作って分業するタイプ”なんです。「1人1人の負担を減らして、みんなで幸せになろう」という。1人では限界があることでも、複数人で行うことで限界を突破していこうっていう考えに感銘をうけて、僕にない音楽性を持っている馬瀬に声をかけました。

━━確かに、”分業制で作曲する”って新鮮ですよね作曲って0から1を生み出すお仕事だと思うので、思考を共有するかのように感じます。

馬瀬さんは、お声がけを受けていかがでしたか?

馬瀬:入学前から堀本の活躍は知っていたので、尊敬していましたし、活動の幅を広げていけると感じましたね。

堀本:今ではぼくが引っ張っていってもらってます(笑)。

馬瀬:(笑)。

私自身、最初は2人で1つの曲を作るような感覚が今までなかったので、当初は複雑な気持ちや不安もあったんですけど、制作を進めていくうちに解消されていきました。

━━ ちなみに、お二人で制作されるうえで、役割分担とかありますか?

堀本:僕は感覚派なんです。情景描写や、映像の登場人物の気持ちなど、心の動きを考えてから作ることが多いです。メロディーやコードなどの音楽要素よりも、気持ちを大切にしています。

馬瀬:わたしは逆ですね。頭脳派です。 幼少期、音楽教室に通っていたこともあって、理論で音楽を学んできました。わたしは音楽が理論から外れたときにズレを感じてしまうんですけど、理論から外れる良さを堀本が補ってくれています。

━━ チームワーク抜群ですね  (笑)。

堀本:ですね(笑)。得意な音楽分野も違うんです。馬瀬はメジャーな音楽が得意ですし、僕はアングラでマイナーな音楽が好きで、得意としています。

━━なるほど!お話を聞いて、バックグラウンドが違うお二人だからこそ作り出せる音楽なんだなと感じます…!

音楽と、映像と、感情と

━━ 制作されるにあたって、Lantanさんが大切されていることをお伺いしたいです。

堀本:さっきの内容と重なる部分もあるんですけど、”人の気持ちをどう動かしていくか”を大切にしていますね。

実は「映像のよさの50%が音楽で決まる」って言われてるんですよ。目から得る情報は直接的で画一的なんですが、それを補うのが音楽なんです。例えば、悲しいシーンであえて楽しい音楽を流すと、観客の心理変化を増幅させることができるんですね。映像と音楽の組み合わせを工夫することで、より印象づけることができます。

━━ 映像と音楽が組み合わさることによって、より綿密な空気感が作られるんですね…!馬瀬さんはどのようなことを意識されていますか?

馬瀬:シンプルなんですけど、「聞く人のことを考えて作る」ことを大切にしていますね。商業音楽なので、依頼してくださった人が「これを聞いてどう思うのか」「グッとくるのか」を客観的に捉えることを重要視しています。

━━ 最後に、Lantanさんの今後の展望についてお伺いしたいです!

堀本:映像音楽って「いつの間にか音楽が流れていた」みたいな状態がベストなんです。

音楽が主張しすぎず、映像にちゃんと溶け込んでいる状態。なので、映像音楽に関わる人ってあまり表に出ないことが多いんですよ。

そんな中、「いいなと思った曲を調べてみたら、Lantanが作ってた」と思ってもらえるようになるのが理想ですね。自分自身が有名になるというよりも、いちスタッフとして、良い作品に関わり続けたいという思いがあります。

━━ 貴重なお話ありがとうございました。映像音楽の世界をもっとのぞいてみたくなりました!

「映像音楽は裏方なので。」そう控えめに語る姿の中に、音楽に対して真っ直ぐ向き合うお二人の力強さを感じました。

映像音楽という世界の中で一際魅力を放つ、Lantanさんの世界をぜひお楽しみください!

Lantan
2017年結成。 堀本陸と馬瀬みさきによる作曲家ユニット。
世界に羽ばたくをモットーに映画音楽を手がけ、
様々なジャンルの音楽を受注している。
作風は、きめ細やかなピアノサウンド、
壮大なシンフォニックサウンドから
アンダーグラウンドのエレクトロニカ、ロックなど幅広く網羅している。
バックグラウンドの異なった二人が織り成す音とセンスが融合することで、
一人では生み出せない世界観を作り出す。

HP         https://lantan.localinfo.jp/
Twitter     https://twitter.com/lantan_music
Sound Cloud  https://soundcloud.com/lantan-music

Writer: Mari Kokaji @_mari_kokaji
Photograph: Iwagoshi Daichi
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