コラム 『 音色 』

コラム 『 音色 』

弱冠21歳、気鋭の映画脚本家 安楽 悠作
コラム Vol.4『 音色 』

安楽 悠作
平成9年9月28日生まれ
父親の影響などで小学生の頃から洋画をよく見るようになる。
高校に入ると実際に自分でも何か創りたいと考え始める。
高校卒業後に高校の同級生であり、部活も同じだったメンバー数名で自主映画「ノイズキャンセル」を撮る。同作は第5回元町ショートフィルムフェスティバルに応募され、上映される。
平成31年、自主製作2作目となる「今を吐く」を撮影。
映像はもちろん、脚本や執筆など広く活動していきたいと述べている。
Twitter/https://twitter.com/LuckyouSuck

『音色』

高さや大きさなど、音の質を表現するための「おんしょく」でもあるけど、僕は今まで「ねいろ」と読むことのほうが多かった。
音から色をイメージできる気がして単純に良いなあと思う。

この秋、とある写真家の個展にお邪魔させていただく機会があった。街の中心を少し外れた住宅街。きっと以前ほどの賑やかさではないのだけど、確実に生活の匂いが漂う商店街や銭湯を抜けるとその展示会場がある。というのは迷っているうちに何となくわかってきた。時には方向音痴も悪くない。

入るとすぐに広がる目の前の華やかさに声が漏れる。楽しい。バイキングに連れてこられた子どもみたいに頬が緩くなる。
数々の写真には本当に多彩な「色」が溢れていた。
そこに並ぶ晴天の写真と濡れたアスファルトに反射した青信号の写真は同じブルーではなかった。もちろん彩度や明度のことではない。

誰かが撮った写真を見ると、その場にいなくともその人がシャッターを切った瞬間の人や物事の状況まで想像できることがある。
ただ、その写真からは音が聴こえた。
カラフルで楽しいだけではなく、フィルムの向こうに耳をすませたくなる。
そんな彼の写真からは繊細な「音色」が確かに聴こえた。

それらは普段、彼が聴いている音なんだろうか。
「本音」は彼にしかわからないけれど、もしかすると彼はその色や表情から、街の音や人の声を聴いているのかもしれない。

音に色をイメージするのではなく、色に音を聴く。

我々は左右の耳にそのまま入ってくる音や声をあまりに信じ過ぎているのかもしれない。
たとえそれは事実であっても真実が一つとは限らない。
世間のノイズに耳を塞いでしまっても、かえって世の中がよく見えるようになることもある。
雑草が揺れて初めて、そこに風を見るように。

「聞けば、見えてくるラジオ」っていうTBSラジオのキャッチコピーが好き。
でも見えると本当にニヤニヤしてしまうし、電車の中でも堪えるのが大変なので見えすぎるのもどうかと思う。


追記

個展とは別の日に会った時、話していると彼が僕の写真を撮ろうという。撮られるのが得意なわけではないけど、せっかくなのでと思い近くにあった小さな公園で撮ってもらった。

「(逆光で)顔が映らなくても、安楽くんがこれから音と光とともに素敵なものをつくることに期待する、希望の光が差している」

なんて言ってくれる彼は今回も快く数枚の写真を貸してくれた。ここに載っている写真は全て彼の撮ったものだが、他の作品も見たいという方は是非下記のインスタグラム等も覗いてみて欲しい。

安楽

Writer / Anraku yusaku @yousuck_anraku
photographer /
 NOBU TANAKA @nobutanaka_

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