「体温まで伝わる映像を」“繋がり”を紡ぐ、映像クリエイターKawa Tomoki

「体温まで伝わる映像を」“繋がり”を紡ぐ、映像クリエイターKawa Tomoki

誰もがスマホでカメラを持ちあるくようになり、毎日数えきれない量の映像に触れるようになったのは本当にこの数年のことだと思う。YouTubeでは1分あたり100時間分の動画がアップロードされている。映像で溢れているこの世の中で、あなたの心に今でも残っているものはどれくらいあるだろうか。

Kawa Tomoki(かわ ともき)さん(21)は、匂い・風温・温度・音・光、その全てを数分の映像という箱に丁寧に詰め込み、ただの消費に終わらない作品を紡ぎあげる。冬の寒い時期に初めて彼の映像を見たが、じんわり心があったかくなったことを今でも覚えている。

今までに様々なジャンルで活躍するアーティストのミュージックビデオの制作、個人用から大企業までをクライアントとするプロモーションビデオなど、幅広い種類の映像を手がけてきた。そんな彼へのインタビューを通して垣間見える、映像哲学に触れてみたい。

Tomokiさんは父親が台湾人、母親が日本人という家庭に生まれた。幼少期は父親の仕事の関係で台湾と日本を行ったりきたりしながら生活していたという。

そのため小学校の頃はまだ日本語が拙く、同級生からいじめを受けた。給食で日本食が出た時に「(外国人の)お前は食うな」と遠ざけられたこともあるほど辛辣なものだった。

『すごく辛くて小学校四年生で学校にも行けなくなった。でもそんな中でも仲良くしてくれていた友達が手紙をくれて、また学校に通い始めました。』

小さな優しさが彼を繋ぎ留めたわけだが、そこから人との「繋がり」に関して敏感になったと当時を振り返りながら彼は語る。

高校時代にONE OK ROCKのミュージックビデオをみたとき衝撃を受けた。その影響からミュージックビデオの制作に憧れことがきっかけで、大学は映像学科のある芸大に進学した。

『大学入学当初は変に尖ってました。俺はMV監督になるんだ、他の映像なんかとるわけねぇってね(笑)』

しかし、そんな彼に転機が訪れる。学生たちだけでファッションショーやダンスショーなどを企画・運営するキャンパスコレクションにて、映像撮影を担当することになる。そこで得た、ファッション・音楽・モデルなど様々なジャンルで活動する人たちとの「繋がり」が彼の価値観を大きく変える。

『ミュージックビデオが撮りたい、というよりも「人」が撮りたかったんだとわかってきました。人との繋がりなしで今の自分はいないと気づいたから。』

中国 / 台湾 撮影 編集:Kawa Tomoki 

ぜひイヤホンをして、コーヒーを淹れ、穏やかな気持ちでこの映像を見てみてほしい。日本に住んでいると日々の喧騒にかき消されてしまう、「自分は生かされている」という感覚を思い出させてくれる。

この映像は彼が故郷台湾と、中国にて撮影した映像だ。日本に帰国して撮った映像を見返すと、無意識のうちにそこに住む人ばかりカメラに収めていたという。

『特に台湾の田舎の方の人は、繋がりを大事にするんです。現地はインターネットもあるかわからないような場所なので、体温の伝わる言葉だけで彼らは繋がっています。その「繋がり」や日本との「違い」を日常の中から切り出して残したかった。』

「繋がり」が一つ大きな制作テーマであることがインタビューを通して見えてきた。そんな彼が次に企てているのは「モノと人との繋がり」にフォーカスしたメディアを立ち上げることだ。特に伝統職人の人たちのドキュメンタリーを通して、日本で当たり前にみられる伝統工芸品と日本人との繋がりを映像として残していきたいという。

きっと彼のこれからの作品も、忙殺される今の私たちと、そんな私たちが忘れそうになっている大切な何かを繋ぎとめる架け橋になるのだろう。


前記事でインタビューをさせてもらった
BeatBoxer SO-SO の新MVを手がけている。

Artist / Kawa Tomoki
IG @
t.k.rad
Twitter @
t_k_rad

Writer / Hamada Rin @008bma
Photographer / Iwagoshi Daichi @g_____osiii

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